ボカロPが2019年ブラックフライデーで買ったもの&購入術を紹介
本日は2019年の11月からこれを書いている12月初め、
すなわちブラックフライデー・サイバーマンデーを含む期間に私アンメルツPが買ったものをお話します。
特にDTM界隈では、ブラックフライデーは世間一般に知られる数年前から認識されています。
11月下旬になると海外のメーカーや代理店のVSTプラグイン・サンプル音源が
一斉に値下げするということで、
最近は1年間、現状の制作に対する不満とか改善したい事を頭に留めておき、
この一ヶ月の間に全部をまとめ買いすることが自分の中で定番化しています。
どちらかというとレビューはごく簡潔で、 主な趣旨は「買ったもの紹介」です。
機材やVSTプラグインに関しては、
購入前の期待や使い始めのざっくりとした特徴紹介しかできないことはご了承ください。
目次
iZotope Tonal Balance Bundle クロスグレード
「Ozone 9 Advanced」や「Neutron 3 Advanced」といった
AIアシスタント機能を備えたミキシング・マスタリング支援のVSTプラグイン、
それにボーカルの自動調整VST「Nectar 3」などがまとまったセットです。
メーカーであるiZotopeは、
最近はブラックフライデーなどで70%引き以上のクレイジーなセールをやったり、
機能限定のバージョン(Elements)を何かにつけてタダで配ることでも有名なメーカーです。
このTonal Balance Bundle(「Total」ではないので注意)も、
iZotopeの何らかの製品を持っていないといけないクロスグレード版なんですが、
私は「Neutron」の1を昔購入し、また「Ozone Elements」と「Nectar 3 Elements」はそれぞれタダで入手しており、
クロスグレードの対象となりました。
とりわけNectar 3 Elementsの場合は2019年夏に、初音ミクや鏡音リン・レンなど
クリプトンボカロ(V3以上)を持ってる全員にプレゼントする企画をやっていたので、
持っているボカロPの方も多いのではないかなと思います。
なぜ買ったかというと、楽曲制作における作業効率の向上ですね。
曲作り以外にもやりたいことはたくさんありますし、
短い期間で多くのアウトプットを出したい思いで創作に取り組んでいます。
私はどちらかと言うとアイデアをできるだけ多く形にしたいタイプなので、
ミキシングとマスタリングはなるべく短時間で90点の結果を出せればいいかなと思っています。
このTonal Balance Bundleはじめ、iZotopeのプラグインはいろんな場所で安売りしてます。
クリプトンが運営するSonicWireや、
海外の販売店として有名なPlugin Boutiqueでも取り扱いがありますが、
その中でもRock On Companyが一番安かったので私はそこで買いました。
ここはブラックフライデーにVISAのクレジットカードで購入すると6.9%割引という特別企画をやっており、
過去の購入(Neutron1とか)でポイントもあったので最安になったというわけです。
Rock on Companyでのセールは12月6日までなので、興味がある方は是非チェックしてみてください。
まあiZotopeですから今後もこれを超える価格破壊が行われていくのは確実なので、
今回のセールをスルーしても何かのついでに手に入る機会はあるかと思います。
Loopmasters Studio Bundle
続きまして「Loopmasters Studio Bundle」です。
前述のPlugin Boutiqueの系列で、LoopMastersというサンプリング音源を取り扱うメーカーがあるのですが、
そのメーカーで取り扱うサンプル音源のうち、86種類ものパックをまとめた巨大なバンドルとなります。
これを全部ダウンロードして解凍するとなんとファイル数8万以上(音源ファイル以外を含む)、
そしてファイルサイズは合計94GB以上!
まさに一生かかっても使い切れないほどの音源が手に入ります。
でもお高いんでしょう?
そうですね、この86種類をもしひとつずつ買っていくと総額30万円以上します。
しかしこのブラックフライデーでは特別価格!
95%引きの99.99ポンド!!(執筆時点で14,000円台後半)
…頭おかしい。
このバンドル、年に2回ぐらい95%くらいの割引販売がされます。
セールの時だけURLが開放されますので、もし知らなかった方は次回は見逃さないようにしましょう。
セール情報はComputer Music JapanさんやSawayaka Trip!さんが仕事が速くてしかも網羅的です。
気になる実用性は?
音をざっくり確認する限りでは、ドラムサウンドは割とあっさりめな音が主のような気がします。
そのまま使えるというよりは、各種エフェクターでさらに音作りして使った方が
良さそうなものが多い印象ですが(ピークが抑えめになっています)、
リズムパターンは非常にそれぞれのジャンルの音が出ていて面白いと思います。
それ以外の音に関しては、一通りは水準レベルでカバーしてるように思います。
例えばインパクトのある爆発音ひとつみても、
バンドル全体を見ると数百種類ありますので、音選びに困ることはないでしょう。
そんなに大量のサンプル音源使いこなせるの?管理大変じゃない?
という話があちこちから聞こえてきそうですけど、
私は「Sononym」というサンプル音源の管理ツールを使っています。
管理という言葉が適切かはこのツールにはちょっと微妙なのですが。
手元にある音源全部を読み込んで、あるサウンドを選ぶと、
それに似たものを提案してくれるとても便利なツールです。
このSononymを手に入れてから、私は音源の管理を放棄しました。
商用利用が可能なことを確認したら、あとはメーカー別・パック別に簡単にフォルダ分けするだけです。
もはや自分でフォルダを漁って一つずつ聴いて選別をする必要はなく、
普段から音源を買って手元に大量に貯めておくことがAIによる提案の高精度化につながるからです。
結果、かなりの時間的なコスト削減になります。
機会があれば単体のブログ記事としてレビューしたい魅力のある、非常におすすめのソフトです。
そして、このLoopMasters Studio Bundleを買った目的はもうひとつあります。
それが次の購入ソフトです。
XLN Audio XO
XLN Audioの「XO」はドラムに特化した…カテゴリーとしてはサンプラーでしょうか?
パソコンの中にある大量の音源から素早くドラムセットを組むためのVSTiプラグインです。
画面を見ていただくとわかりやすいと思います。
星のように散らばっているひとつひとつの点が、パソコンの中(XO付属を含む)にあるドラム音源なんです。
これらを好きに選んでいき(似たような音も提案してくれる)、
リズムを組み上げることができるようになっています。
リズムパターンもいくつか登録されている中から好きに呼び出すことができ、
それをMIDIとしてDAW(作曲ソフト)の画面に反映させることもできます。
ちょっと試した限りでは、かなり楽に理想のリズムが組めそうで、
ダンスミュージックなどで使う機会が多そうです。
XLN Audioといえばドラム音源「Addictive Drums」で有名ですが、
最近リリースしたこのXOによって、生音系・打ち込み系ドラムの両方をカバーするメーカーになりました。
今まで打ち込み系のリズム組みにはNative Instrumentsの「Battery」(KOMPLETEに付属)を使っていましたが、
今後ますますXLN Audioにお世話になる機会は増えそうです。
ちなみにこのXO、ブラックフライデーでは45%引きでセールしていました。
しかし実はブラックフライデーの数日前にメールクーポンで50%引きで買える機会(「Early Birdセール」と称される)があり、私はそこで購入しました。
メールマガジンは基本的には大量に届くのであまり見ないですが、
その中にはこんなお宝もあるということですね。
Waves Diamond
まあこれはぶっちゃけ買わなくても良かったかもしれませんが…
最近Windowsをクリーンインストールする機会があり、
そこで今までのWavesが使えなくなったら嫌だなと思って購入しました(結果的には杞憂ではあったんですが)。
Windows 10のバージョンが1803以後、大型アップデートが失敗する現象が続き、
1803のサポートが終了しそうになったので、
だったら一旦リセットした方がいいんじゃないか?と思いクリーンインストールをしました。
一方で、Waves Update Planを2年ほどサボっており、
この間にWavesのバージョンが9から11に上がってたわけですね。
なのでこの機会にアップデートしておこうとなりました。
Update Planを更新すると、持っていたWaves Platinumと他のツールいくつかで総計240ドルかかるはずが、
ブラックフライデーでPlatinumからWaves Diamondへのアップグレードにクーポンを適用すると、なんと85ドルで買えてしまいました(もちろんDiamondに関してはUpdateの期間が更新されます)。
まあWaves Diamond で新しく手に入るプラグインの中に特別使いたいものがあったわけではない、
むしろWaves自体からも卒業したい思いもあったんですが、
最初に触れたiZotopeの自動ミックス・マスタリング技術がもう少し向上するまでは、
Wavesをはじめとするいろいろなツールはまだ出番があるのかなと思います。
OneKnob PumperやRenaissance Voxなど、自分の中で置き換えのできない存在もまだあります。
(どれもツマミ・レバー1個の効率系である…)
Adobe Creative Cloudの1年間更新
次にデザインや動画作り、個人サイト作成には欠かせないAdobe CCを更新しました。
これもこの時期に更新するのが数年前からのルーティンになっています。
Adobe CCは、月額4,980円から最近値上げして5,680円(税抜)になりましたが、
Adobeサイトから通常価格で契約しちゃうのは絶対に損です(最初の一年目のみ安いプランが提示されたりもしますが)。
というのも、AmazonではAdobe CCを1年間契約できるオンラインコードを販売しており、
プライムデーやブラックフライデーなどの節目の機会には必ずセールをやるからです。
このコードは既存ユーザーでも買えて、コード入力により1年契約が延長されます。
このセールで買うと、その時には大きな出費になりますが結果的には得するというわけです。
値下げ幅は大体20%から30%前後のことが多く(セールによって多少値下げの幅が違います)、
たまに継続購入者向けのさらに5%割引クーポンがあったりします。
これを併用すると、 消費税を含めて年7万円以上のところを45,000~50,000円で運用できます。
一括出費がつらい人は、12回分割払いやリボ払いの手数料が加わっても普通より安くなりますね。
このセール情報だけは毎年絶対に逃さないようにしています。
新しいノートパソコン(特にセールではない中古品)
11月中旬に新しいノートパソコンとして、「HP Spectre x360」を買いました。
5年半ぐらい使ったSonyのVAIO Duo 11が、昨年あたりから液晶に気泡が生じ、
しかもタッチパネルも変なところが勝手に反応するようになり、
タッチパネルの機能を切って普通のパソコンとして使用していましたが、
いよいよ最近液晶に色ムラが生じて潮時だと思ったので買い替えた次第です。
ノートパソコンに求めた条件は、予算10万円以内で今よりスペックが上がること。
デスクトップと遜色ないレベルでPhotoshopやDAWを扱いたかったのです。
そうするとメモリ16GBに加えて、CPUもできればCore i7が欲しい。
ストレージ容量は今のVAIOと同じ500GB以上。
そしてVAIOと同等以上の持ち運びやすさとタッチパネルの装備です。
となると高スペックとコンパクトの両立が必要で、国産メーカーではこのクラスだとどれも20万円以上。
これに該当する新品で一番安かったのは、調べた限りHP ENVY x360の価格.com限定モデルで101,750円。
ただ新品を買うならちゃんとサポートを3~5年間水濡れとかも含めた保障を付けようと思っていたので、
それを含めると十数万円になります。
というわけで、新品を大事に5年使うのではなく、
中古を買って2~3年使えれば万々歳という方針に切り替えました。
中古ショップにもいろいろありますが、今回は買取などでも色々お世話になっている
ソフマップ系列の中古ショップ「リコレ!」で探しました。
調べると、同じくHPのノートPC「Spectre x360」で上に挙げた条件を全部満たすものを発見。
最新の2世代前になりますが、それでも2017年発売機種なので、
2012年発売機種である今のノートPC に比べると世代としてはかなり新しいものです。
これにショップ独自の3年保証(保証範囲は最低限)をつけて9万円以下。
個人的には良い買い物したと思います。
3週間ぐらい使っていますが、今のところとても満足しています。
それなりにハイスペック、電池持ちも前のVAIOより数倍良く、
1日の外出であればバッテリーを持ち歩く必要もなくなり、とても身軽になりました。
USBメモリ
AmazonでTranscendの32GBのUSBメモリを買いました。
1,000円以下です。
メーカーはPCのメモリでも馴染みのあるトランセンドにしました。
主な目的は、先に書いたWindowsのクリーンインストール用です。
普段のデータはDropboxなどのオンラインストレージにほとんど保存しているので
物理的な USBメモリを買う必要は無かったのですが、 何かあったときには大事な存在になります。
最近はWindowsのインストールメディア(リカバリメディア)がUSBメモリで楽に作れるようになりました。
設定をある程度残せるオプションもできて、
昔よりも再インストールのハードルがかなり下がりました。
書籍
絵を見る技術 名画の構造を読み解く(著:秋田麻早子、刊:朝日出版社)
「RINLENMANIA」や自分の楽曲の動画用などでご提出頂いた絵に、
もっと気の利いたコメントを返したいという圧倒的語彙力不足の現実がきっかけで買いました。
配置やカラーリングなどのデザイン的な解説や、比率や幾何(図形)などの数学的な見かたも用いて、
なぜ名作は名作なのかを説明しています。
わりと私に合ってる気がします。
ファクトフルネス(著:ハンス・ロスリングほか、刊:日経BP社)
最近話題なので結構知ってる人も多いと思うんですけれども、
もっとデータや客観的な事実に向き合うことが、
今後の活動のためにも大事かなと思いまして買いました。
思い込みを排除してあの客観的に観察しようという精神は、創作にも重要な要素かと思います。
Vue.jsのツボとコツがゼッタイにわかる本(著:中田亨、刊:秀和システム)
Web制作のために買った本です。
JavaScriptはそんなに得意ではないので、今後のための知識として。
おわりに
11月はイベントの参加や商業本の印税など、他の月よりも収入があった時期でしたが、
予算を上回るお買い物によって見事に赤字になりました。
とはいえ今回はノートPCなども含まれているので仕方ない面もあります。
これを消費ではなく投資と考えて、
さらにいろんな活動をしていければいいと思いますので、今後も頑張ります。
著者「アンメルツP」について
アンメルツP(gcmstyle / 安溶二)
ボカロP。鏡音リン・レンなどのVOCALOID(広義)を歌わせたオリジナル曲・カバー曲を2008年から作り続けています。代表作にゲーム『プロジェクトセカイ』収録の高難易度曲「人生」、著書に『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』(インプレス)など。
音楽ジャンルに関係なく、キャラクター性を活かしたボカロ曲を制作しています。
楽曲ストリーミング配信、カラオケ配信(JOYSOUND/DAM)多数。