VOCALOID2をPiapro Studioで使う方法【全ボカロ対応・2020年2月版】
目次
はじめに
こんにちは、アンメルツPです。
今回は、初代「初音ミク」などの「VOCALOID2」を、2020年2月時点での最新環境の
Piapro Studio(VOCALOID4相当)で使う方法を解説します。
私は10年以上「鏡音リン・レン」をメインの日本語歌唱ボカロとして活動してきたボカロPで、
いずれもVOCALOID2としてリリースされました
Act1(2007年発売)、Act2(2008年発売)、Append(2010年発売)を
いまだに現役の音源として使用しております。
また英語シンガーとして同じくVOCALOID2の「Sweet Ann」もよく使用しています。
「鏡音リン・レン」Act1/Act2音源のように、そのライブラリでしか出せないような
魅力のある声(ある意味ヴィンテージシンセに似た感覚)もありますし、
そもそもV2しか出ていない「Sweet Ann」「BIG-AL」などの音源もありますので、
できるだけ長く使える環境がほしいところです。
しかし「VOCALOID2」は、公式にはWindows10での動作はサポート対象外です。
一応手元の環境(Windows10 Pro バージョン1909)では問題なく動作はしますが、
今後のWindowsのバージョンアップによっては使用できなくなる日が来るかもしれません。
※Macには元々対応していません。
VOCALOID各製品のWindows10対応状況について(2015.11.06 現在) | VOCALOID ( ボーカロイド・ボカロ )
VOCALOIDとしての現時点での最新バージョンは「VOCALOID5」です。
しかし、VOCALOID5 Editorで読み込めるVOCALOIDのバージョンは「VOCALOID3以上」となりますので、
残念ながらそもそも読み込まれません。
そこで、Piapro Studioを使うことになります。
2020年中には「VOCALOID」ではない『初音ミク NT』が登場予定で
Piapro Studioも刷新がされるかとは思いますが、
2020年2月時点での最新環境である「VOCALOID4」相当のPiapro Studioは、
クリプトン・フューチャー・メディアから発売されている
「初音ミク V4X」「鏡音リン・レン V4X」「巡音ルカ V4X」のいずれかを購入すれば、手に入ります。
※「KAITO V3」「MEIKO V3」は「VOCALOID3」相当のPiapro Studioですが、
このバージョンでもVOCALOID2を使う方法は同じとなります。
今回はこれにVOCALOID2のボイスバンク(歌声ライブラリ)を取り込みます。
取り込むことで、例えばこのように
V2とV4Xの鏡音リン・レンがPiapro Studio内に同居できるようになります。
なお、「VOCALOID5」本体を購入しますと、
DAW「Cubase」で使える「VOCALOID 4.5 Editor for Cubase」がついています。
こちらは性質的には「VOCALOID5のボイスバンクも使えるVOCALOID4 Editor」というイメージで、VOCALOID2にも対応しており、V2~V5までのボカロが共演できます。
「Cubase」をお使いの方はこちらを使うのもいいでしょう。
VOCALOID4.5 Editor for Cubaseでは何ができますか? | FAQ | サポート | VOCALOID ( ボーカロイド・ボカロ )
V2、V3、V4、V5のボイスを全部動かせるエディター。 | ごぼうPのブログ
VOCALOID2をインストール
まずはPiapro Studioで読み込みたいVOCALOID2対応のボカロが
まだPCにインストールされていない場合は、通常通りインストールします。
この段階で、動かしたいVOCALOID2のボイスバンクは全部インストールしてしまって構いません。
「VOCALOID2 ライブラリインポート」を行う
次にこのボイスバンクに「VOCALOID2 ライブラリインポート」ツールを適用します。
この「VOCALOID2 ライブラリインポート」とはそもそも何かというと、
「VOCALOID3 Editor」「VOCALOID4 Editor」、
ひいてはV3/V4相当の「Piapro Studio」で
「VOCALOID2」を使えるようにするためのシステムです。
元々は「VOCALOID3」を購入すると「Library Import Tool」として同梱されていたツールです。
しかし、後釜の「VOCALOID4」リリースからしばらく経過した2016年に、
システム刷新(VOCALOID STOREからVOCALOID SHOPへの移行)に伴い
YAHAMAは「VOCALOID2 ライブラリインポート」のサポートを終了してしまいました。
「VOCALOID2 ライブラリインポート」サポート終了のお知らせ | VOCALOID ( ボーカロイド・ボカロ )
じゃあ今はどうやってV2をV3以上で使えるようになるかというと、
実は引き継ぎのような形で、ボイスバンクの販売元(クリプトン、AHS、インターネット社など)が
この「V2インポートツール」のサポートを2020年現在も行っています。
クリプトンボカロと海外製ボカロの場合
クリプトンの場合、下記のページが公開されています。
SUPPORT – 「VOCALOID2 ライブラリインポート」について | SONICWIRE
こちらで、SONICWIRE(クリプトンが運営する音源ストア)でサポートするVOCALOID2製品、
すなわちクリプトンボカロと海外製ボカロのV2インポートツールの入手ができます。
初音ミク(V2/Append)、鏡音リン・レン(Act1/Act2/Append)、巡音ルカ(V2)、
Sweet Ann、PRIMA、SONICA、TONIO、BIG-ALが対象です。
対象製品を登録したアカウント(未登録の方はユーザー登録&製品登録しましょう)で
このページに書いてあるそれぞれの製品のリンクをクリックすると、
インポートツールがカートに入ります。
0円で購入できますので、そのまま購入手続きを完了してください。
そうすると登録メールアドレスに購入メールが届きます。
そこにインポート用のシリアルナンバーの記載と、ツールのダウンロード先が書かれていますので、
ツールのインストールと起動、実際のインポート手続きを行ってください。
AHS社のボカロの場合
VOCALOID2「歌愛ユキ」「氷山キヨテル」「SF-A2 開発コードmiki」「猫村いろは」は
開発元のAHSがサポートしています。
ここでは例として「miki」のページを貼っておきます。
VOCALOID2 SF-A2 開発コード miki|製品情報|AHS(AH-Software)
こちらもサポートを受けるには事前のユーザー登録、製品登録が必要です。
マイページにアクセスし、製品一覧から、VOCALOID2製品を選んで
「アップデータのダウンロード」をクリックすると、
「VOCALOID2_LibImportTool_2_0_1_Setup.exe(1.6MB)」がダウンロードできます。
シリアル番号については個別対応になるので、「製品に関するお問い合わせ」から依頼する形になるようです。
この際、製品のパッケージ内に付属している「サポート番号」が必要になりますのでご注意ください。
インターネット社ボカロの場合
インターネット(インタネ)社のVOCALOID2製品は
「がくっぽいど」「Megpoid(GUMI)」「Lily」「ガチャッポイド」が対象です。
V3以上にインポートするには、やはりマイページに登録を行ったあと、
サポートセンターから個別に問い合わせる流れとなります。
歌手音ピコの場合
キューンレコード(ソニー・ミュージックレーベルズ)から発売された
歌手音(うたたね)ピコに関しては、公式サイトの末尾に
「ライブラリインポートを行うためのインポートシリアルの発行に関するお問い合わせも
こちらでご対応致します。」との記述があります。
公式サイト記載のメールアドレスにシリアルコードを記載してメールで連絡しましょう。
ピコ VOCALOID2 開発コードPiko 「歌手音ピコ」
インポート環境が無いボカロ
というわけで、調べた限りではYAMAHA純正(当時の発売元はビープラッツ)のVOCALOIDである
VY1とVY2だけが
VOCALOID2として、現状「VOCALOID3 Editor」以上で使う環境が新規に構築できないという
孤立した存在になっているという皮肉な状況になっています…。
おとなしく公式サイトで販売されている最新バージョンを使いましょう。
「VOCALOID5 PREMIUM」を買うと同梱されているほか、
個別のVOCALOID5ボイスバンクとしても販売されています。
インポートツールを通したボイスバンクを、Piapro Studioに取り込み
これでようやく、インポートツールを通したV2ボイスバンク(以下「対応ボイスバンク」と呼称)が
V3エディタ・V4エディタ、そしてPiapro Studioで使える準備ができました。
最後に、この対応ボイスバンクを今度はPiapro Studioで使えるようにアクティベートするという
もうワンステップの作業があります。
この作業は
バージョン関係なく、クリプトン以外のボイスバンク (例えば「結月ゆかり」「v flower」など) は
全員Piapro Studio上でやらなければならない共通のものです。
手持ちのDAW(ここでは無料のCakewalk by BandLab)でPiapro Studioを立ち上げて
シンガー(ボイスバンク)の一覧を見ると、
まだPiapro Studioで使うことができないシンガーは鍵つきで表示されます。
ここでシンガーの顔の部分をクリックしますと、
「アクセスキーがありません。
VOCALOID歌声ライブラリ○○をPiapro Studioで使うためのアクセスキーは
SONICWIREで申請を受け付けています」と表示されます。
「アクセスキーを申請する」をクリックします。
SONICWIREのサイトにつながりますので、ログインしていない場合はログインorユーザー登録。
画面に従って「同意する」にチェックを入れて「次へ」をクリックするとアクセスキーが発行されます。
これをコピーして元のPiapro Studioの画面にペーストすることで、無事アクティベートされます。
おわりに
このような感じで、ようやくVOCALOID2をPiapro Studioで使うことができるようになりました。
存分に初期のボカロと最新のボカロの共演を楽しみましょう。
2020年中には『初音ミクNT』がリリースされ、古いライブラリの扱いがどうなるか分かりませんが、
引き続きヤマハとの協業は続けるということなので
願わくばVOCALOID版の今まで(これからも?)のクリプトンボカロと、
新しいNTのライブラリーがPiapro Studioでデュエットできるようになればいいですね。
著者「アンメルツP」について
アンメルツP(gcmstyle / 安溶二)
ボカロP。鏡音リン・レンなどのVOCALOID(広義)を歌わせたオリジナル曲・カバー曲を2008年から作り続けています。代表作にゲーム『プロジェクトセカイ』収録の高難易度曲「人生」、著書に『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』(インプレス)など。
音楽ジャンルに関係なく、キャラクター性を活かしたボカロ曲を制作しています。
楽曲ストリーミング配信、カラオケ配信(JOYSOUND/DAM)多数。