【おすすめVST紹介】「Renaissance Vox」簡単操作でボーカルが前に出るコンプ | G.C.M Records

【おすすめVST紹介】「Renaissance Vox」簡単操作でボーカルが前に出るコンプ

はじめに

実際に私アンメルツPがボカロ曲などの制作の際に使っている
おすすめVST/VSTiプラグインを紹介・レビューしていくシリーズの第13回。

「実際に楽曲で使用したVSTプラグインの紹介」にこだわっています。
使用楽曲も貼っておりますので、ぜひ聴きながら曲作りを彩る道具の紹介をお楽しみください。

前回(第12回)の紹介記事「Tantra」についてはこちらからどうぞ。

プラグイン紹介

プラグイン基本情報

プラグイン名:Renaissance Vox

価格:定価79ドル(Waves本家)/12,000円(代理店)
※常に何らかのセールで定価より安く買えるはずです。
また、WavesのPlatinum以上のバンドルを買ってもついてきます。

ビット数:64bit/32bit両対応
メーカー/開発者名:Waves

紹介ページ:
Renaissance Vox Vocal Compressor Plugin | Waves
Renaissance Vox | Media Integration, Inc.

Waves「Renaissance Vox」画面(最近インターフェイスがリニューアルされました)。
Waves「Renaissance Vox」画面(最近インターフェイスがリニューアルされました)。

使い方は簡単、「Comp」を下げていくだけ

シンプルな操作で絶大な効果を発揮する、ボーカルの処理に特化したコンプレッサーです。

「Gate」「Comp」「Gain」と一応3つレバー(フェーダー)がありますが、
ほとんどの場合はCompのみで十分な効果が出ます。

この「Comp」の値を下げていくだけで、全体の音量が均され、自然に声を前に出すことができます。

Compの値を下げていくだけ。簡単ですね。
Compの値を下げていくだけ。簡単ですね。

このCompですが、かなり過激に値をつけても破綻が少なく、
元のボーカルの雰囲気を保ったままナチュラルに仕上がる
という、クオリティの高さが最大の特徴です。

「Gain」は単純に処理後に音量を上げるだけです。

「Gate」の使い方

「Gate」は、このラインを超えた音量で歌うところだけが強調されるというイメージです。

Gateを超えた音量で歌う部分が強調され、それ以下が目立たなくなります。
Gateを超えた音量で歌う部分が強調され、それ以下が目立たなくなります。

基本は、人間が録音を行ったボーカルを処理する際、
バックグラウンドで入ってしまうノイズや、息(ブレス)の音などが強調されるのを防ぐために使用します。

余計な音を抑えたまま、メインとなる音声部分だけを処理できるため、
歌に限らず、ゲーム実況動画やセミナー・講演などの音声加工にも広く適しているかと思います。

VOCALOIDでは基本このパラメーターを操作する必要はありません。
ただ、設定しだいで音の出だしとなる子音が引っ込む&発声後の余韻が減る効果は出せます。

Gateは基本一番下に置いといて、滑舌や余韻を微調整したい時だけ少しずつ上げていくという
イメージで良いでしょう。(そもそもCompだけで不満なく処理できることがほとんどです)

ボーカルを最短距離で理想に近づけられる

ボーカルに適用するコンプレッサーの設定値というのは
誰もが抱えるミックスでの悩みかと思うのですが、
このプラグインはその部分を楽に、しかもハイレベルに任せられる存在です。

やはりここ数年の傾向として、より簡単操作のプラグインが求められる傾向があるように思います。

どちらかというと「曲を作りたい」(作曲・編曲・作詞)をモチベーションに活動している方には
ミックスやマスタリングに関しては、なるべく苦労をせずに最大限の効果を発揮できるプラグインを使い、
本来やりたい曲作りに集中することを個人的にはオススメしておりますし、
私もその方向で活動しております。

その方向性にがっちり合っているのが、この「Renaissance Vox」というプラグインです。
私の場合、VOCALOIDでも人間でも必ず最初にかけるエフェクターです。

もっとも、これひとつだけでボーカルの処理全部ができるわけではないので、
この後エキサイターやディエッサーなどを使用して、好みの声により近づけていきます。

このプラグインを使った作品

春待ち八重桜
(2020年発表、歌唱:鏡音リン・レン)

ぶっちゃけここ数年に発表した全曲に使っているので、
別に何の曲を「このプラグインを使った作品」として紹介してもいいのですが、
一応執筆時点での最新曲を貼っておきます。

90年代J-POPをベースに制作した、VOCALOID「鏡音リン・レン」のデュエットソングです。

この曲は制作過程を全部ブログにまとめて公開しておりますのでそちらもぜひご覧ください。

この曲では、「Renaissance Vox」を2回ボーカルにかけています

ソロで歌っているトラックと、合唱しているトラックの合計2回使ってみました
ソロで歌っているトラックと、合唱しているトラックの合計2回使ってみました

この曲はボーカルのトラックが4トラックあります。
それぞれ「鏡音リン」のメインとコーラス、「鏡音レン」のメインとコーラスになります。

まず、個別の4トラックすべてに「Renaissance Vox」(と他のエフェクター)を適用しました。

Piapro Studioからそのまま書き出したボカロの音量はかなり小さいので、
ここではCompの値を「-24.0」とかなり深く適用しています。

ボカロはメーカーやライブラリによっても結構書き出し時の声量がバラバラなので、
違うボカロや違うバージョンを複数歌わせる時に、だいたい声量が同じに聞こえるように
この段階でComp(と、DAWのボリューム)を調整していきます。

それから、この4トラックを2トラックにまとめたバス・トラックがあります。
それぞれ「リンレンのメイン」「リンレンのコーラス」となるのですが、
今回はこのバス・トラックそれぞれに再び「Renaissance Vox」をかけました。

目的としては、ソロとデュエットでは単純計算で音量が2倍違うことになるので、
それをCompの設定でうまく均しつつも自然になるように処理を加えるというイメージでした。
1回目と違って、ここはそれほど深い値は設定しませんでした(-7.5)。

この手の目的においては、レシオ(圧縮比率)の強い別のコンプを使って
より平坦にした方が効果が出ることもありますが、
今回は全体として伸びやかな合唱というのを狙ったつもりではあります。

Renaissance Vox Vocal Compressor Plugin | Waves
Renaissance Vox | Media Integration, Inc.


34名のボカロP・DTMerらに 「実際に作品に使用して、役に立ったVSTプラグイン」
「使った曲へのリンク」とともにご紹介頂きました。
172ページの同人誌 『VST Lovers』は、現在BOOTHで頒布中です。
詳しくは、下記のバナーよりリンクしている特設ページをご覧ください。

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著者「アンメルツP」について

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