自分の活動スタイルに合うVSTプラグインを選ぶための7つの基準 | G.C.M Records

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自分の活動スタイルに合うVSTプラグインを選ぶための7つの基準

はじめに

この記事は拙著『VST Lovers ~このVST(i)プラグインが熱い!~』の文章を再構成したものです。
(第1章 1-3「本書の見方と活用方法」)

そもそもVSTプラグインとは何かに関する説明はこちらをご覧ください。

VSTプラグインの種類とそれぞれの概要については、こちらをご覧ください。

『VST Lovers』では、様々な方が無料・有料問わず色々なVSTプラグインを紹介しています。
このブログでも、個人的におすすめのVSTプラグインをこれまでもたくさん書いてきました。

また、その他にもネット上や書籍などで、
様々な方がおすすめ音源やエフェクターの情報を発信しているかと思います。

しかし、これらの情報を見て、有料プラグインを
「大好きなボカロPがこれを使っているから自分も買おう!」と安易に考えてしまうと、
購入後に「自分とは合わなかったよ…」と使わずに放置という
「VSTプラグインあるある」なケースに陥ることにもなりかねません。

私も何度か経験があります。

そういう意味では、自分自身の楽曲制作に関する方向性を考えて、
その方向性と相性のいいプラグインとは何かを見極める
ことが、
これらの情報を本当の意味で活用するためのポイントなのかもしれません。

そこでここでは、「プラグインを選ぶ基準」についていくつか紹介したいと思います。

皆様はプラグインを選ぶ際に、どれを重要視しているでしょうか?

基準1:値段

同じようなプラグインでも、無料から数万円クラスまで、様々な価格帯のものがあります。

予算が少ないという場合は、無料やより安価なもので代替できないか考えてみましょう。

プロの方やプロを目指している方は、導入した結果、
購入分のお金を取り戻す成果が得られるかというビジネス的な判断が問われると思います。

また、プラグインによっては実質的な維持費がかかるもの(WavesのWaves Update Planなど)もあるので
注意が必要です。

参考記事:WUP (Waves Update Plan)とはなんですか?
https://support.minet.jp/portal/ja/kb/articles/wup-waves-update-plan

基準2:動作の軽さ・制作環境との相性

有料プラグインの中には、高機能ゆえ動作が重いものもあります。

ノートパソコンなどの非力な環境で作業を行っている場合は特に注意が必要です。

また、生演奏系の音源の場合、
数GB~数十GBという大量のサンプルによりハードディスクを圧迫されることもあります。

特に最近は総合音源などでも大容量のものが増えている一方で、
最近のパソコンでスタンダードな記憶媒体であるSSDの容量は
ハードディスクに比べて少ないのが一般的であるため、以前より足りないという状況が起きがちです。

ディスクの使用容量や推奨環境などは、公式サイトなどで確認できます。

基準3:音自体のクオリティ

単純な音質以上に、特に高価な音源の場合は、
生演奏と区別がつかないほど奏法の再現を含めてリアルな音を出せることを謳い文句にしたものもあります。

リアルを追求するなら導入すべきでしょうが、
あまりこだわらない方にとってはそれっぽい音が出せれば十分という考え方もあります。

VSTエフェクターの場合も、
例えばリミッターで大幅に音圧を上げたときに音が濁って聴こえるものと、
比較的それが少ないものがあるなど、クオリティは様々です。

基準4:活動ジャンルとの相性

例えばクラブ系の楽曲を作るのに向いたエフェクティブ系のプラグインは、
バラードなどの楽曲を主に作る人にはあまり必要ないかもしれません。

バンドっぽい曲をやりたいなら、
ギター音源やアンプシミュレーターは大いに役に立つでしょう。

カバー曲や歌ってみたをやる場合は、
メロディ系や空間系エフェクターを揃えておくと便利といった具合でしょうか。

基準5:作業効率

「鍵盤をひとつ押さえるだけでギターのコードが鳴らせる」ギター音源(例:RealStrat)や、
「自動的に最適なパラメータを提案してくれる」エフェクター(例:Neutron)に代表されるような、
導入するとより短時間で曲を仕上げられるようになるVSTiやエフェクターがあります。

時間の限られた社会人などは、
お金で時間を買ってしまったほうが結果としてストレスが少なく活動を行えるかもしれません。

逆に、目的のサウンドを得るためにたくさんクリックの手間が生じるものは、
作業効率が悪いといえます。

基準6:取り扱いの難易度

基準5とも少し関連する部分ではありますが、
シンセサイザーやエフェクターを導入したはいいが、
操作するツマミが多すぎて何をどうすればいいのかわからず挫折、
というのは初心者にありがちな展開かと思われます。

微調整はできなくとも、少ない操作系統で十分に役に立つプラグインも多いです。
極端な話、ノブがひとつだけでも主力級として使えるものもたくさんあります。

また、プリセット(あらかじめ一定のパラメータが調整・設定された、すぐに使える雛形)が充実しているか、
整理されているかというのもプラグインを選ぶポイントです。

詳細なパラメータを知らずとも、一定の結果を出すことができます。

基準7:見た目・UI

プラグインのデザインでモチベーションが左右されることは意外と多いです。

例えば、「DOTEC-AUDIO」の統一された世界観などはファンも多い印象です。

また、文字の大きさが適正ではない場合は長時間の作業に支障をきたす可能性もあります。
最近は、自由に画面のサイズを変えられるプラグインも多くなってはいます。

おわりに

VSTプラグインを紹介する文章では、この7つのうちのどれかのポイントが
必ずアピールとして差し込まれているかと思います。

「リアルな音源で(基準3だ……)」「作業効率が高まりました(基準5だ……)のように
紹介文を読み解きながら、
読者の皆様が最適なプラグインを見つけられることを願っております。

ちなみに、有料のプラグインにはたいていデモ版が公開されていますので、
慌てて飛びつく前にまずは試用してみましょう。

多くの場合デモ版には日数制限があるので、あまり忙しくないときに試すのがいいでしょう。

注意点として、日数以外に制限が無いからといって、デモ版を使って完成させた曲を発表するのは、
プラグインによってはライセンス違反に問われる可能性があります。

「初音ミクV4X」などのボカロにおいては体験版で曲を作ることも当たり前ですが、
一般的なVSTプラグインにおいてはそうではないことも多いです。

利用規約等に明記されていない限りは、デモ版はあくまで使用感を確認するに留めておきましょう。


34名のボカロP・DTMerらに 「実際に作品に使用して、役に立ったVSTプラグイン」
「使った曲へのリンク」とともにご紹介頂きました。
172ページの同人誌 『VST Lovers』は、現在BOOTHで頒布中です。(発行から3年が経ち、残部わずかです!)
詳しくは、下記のバナーよりリンクしている特設ページをご覧ください。

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著者「アンメルツP」について

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