令和時代の個人サイト制作入門(3)Wordpressの特徴・メリット | G.C.M Records

連載シリーズ「WordPressによる令和時代の個人サイト制作入門」アイキャッチ画像

令和時代の個人サイト制作入門(3)WordPressの特徴・メリット

2019年9月22日開催「技術書典7」で出す予定の新刊の内容を
ブログで全部書いていってどんどん更新をしていこうという、一連のシリーズの第3回です。

前回の記事では、個人サイト(同人サイト)を作るために必要な3つのものを見てきました。

今回はWordPress(ワードプレス)とは何で、
普通にHTMLによる個人サイトを作るのに比べてどう便利になるのか?という点をお話します。

WordPressとは何か

音楽やイラストをつくる技術が日々進化しているように、
Webサイトのコンテンツを作る技術というのも実はどんどん進化をしております。

例えば昔の個人サイトでは少し面倒だったり、技術的に難しかった

・日記をどんどん量産するタイプのページ
・コメント機能やログイン機能など、SNS的な要素を持つページ
・写真や動画を大きく表示してポートフォリオとして見せることに特化したページ
・携帯電話(スマートフォン)やタブレットなど、様々な閲覧環境に対応したページ
・比較的簡単な記述でのアニメーションやダイナミックな動きの表現

なども色々とできるようになりました。

そしてこの現代的なサイトを作るために有用なソフトウェアのひとつ「WordPress」(ワードプレス)です。

ソフトウェアとは言っても、まずWordPress はFTP ソフトを使い、
WordPress を構成するファイル群を丸ごとサーバーにアップ
する必要があります。
そこからオンライン上で設定を行うことで、「起動」してサイトが作れるという仕組みです。

WordPressでできること

どんなサイト(コンテンツ)が作れるかというと、基本的にはブログが作れます。 

第2回の記事でアメブロやlivedoor Blogの例を出しましたが、
これらはアメーバやlivedoorが提供しているブログのサービスに乗っかってブログ記事が作れるということです。

このWordPressというのは、
そういったブログサービス自体を自分専用のものとして作れてしまうというわけです。 

こちらの管理画面の画像をご覧ください。 

WordPressの管理画面(投稿一覧)
WordPressの管理画面(投稿一覧)

ご覧のように、タイトルやカテゴリーの一覧がこのように並んでいます。

この管理画面はWordPress をインストールした自分のサイト上にあります。
ここから自由にブログの記事を編集できるようになっています。

またブログの本文編集画面では、HTMLの知識があまりなくても
画像を貼り付けたりしながらビジュアル的に編集ができるようになっています。
昔の個人サイトに比べるとずいぶん楽だと思いませんか?

WordPressの管理画面(投稿の編集)
WordPressの管理画面(投稿の編集)

しかもWordPress は2003年に最初のバージョンがリリースされた以降改良を重ねていまして、
現在ではブログに限らず本当に何でも作れるようになりました

こういったWordPressのようなソフトウェアは
CMS(コンテンツマネジメントシステム)と呼ばれています。
サーバーにアップしたコンテンツの管理をしやすくして、
自分がやりたいサイト作りの手助けをするツール
でという意味です。

またWordPressは第三者が「プラグイン」と呼ばれる拡張機能や、
「テーマ」と呼ばれるサイトの外見部分を多数リリースしており、
それを使うことによって、思い通りのカスタマイズができる柔軟性を備えております。

WordPressの本体は無料

そんな昔に比べるとある種夢のようなシステムを実現したWordPressですが、
「でもお高いんでしょう?」という声が聞こえてきそうです。

そんな皆さんに朗報がございます。

なんと!このWordPress本体は完全に無料です!

WordPressはこの公式サイトでダウンロードができます。

WordPress公式サイト
WordPress公式サイト(クリックでサイトに飛びます)

オープンソースで、GPLというライセンスの下で配布されている無料のソフトウェアです。
世の中の発展のためにWordPress に関わる人みんなで
WordPressの改善に協力していこうという思想があります。
GPLを詳しく解説するとそれだけで本が作れそうなので各自調べてください。

ただし第三者が提供する一部のプラグインや高機能なテーマは有料です。

最初は無料テーマを使い、物足りなさを感じた段階で有料テーマに手を出すのをおすすめします。
一方プラグインは、ほとんどの場合無料のもので事足ります。

ちなみにですが、自分でサーバー内にインストールするソフトウェアとは別に
「WordPress.com」というブログサービスもございますが、
こちらのやっていることは要はアメブロなどとまったく同じ「ブログサービスの提供」です。

なのでこちらを使うケースはここでは割愛させていただき、
あくまで自分の契約したサーバーに WordPress のソフトをインストールして
サイトを作るというケースで今後説明させていただければと思います。

WordPressの特徴・メリット

「見た目」と「中身」が分離されているので修正が楽

WordPressによるWebサイトと普通のHTMLのみのWebサイトの最大の違いは、
WordPressでは「見た目」と「コンテンツの中身」が分離されているということです。

「見た目」はテーマファイルという、Webサーバー上のファイルとなります。
これは従来のHTMLサイトと同じようにFTPでアップロードやダウンロードができます。

一方、「コンテンツの中身」はデータとして、データベースという全く別の場所に入ります

テーマファイルの例としてはこんな感じです。

WordPressのテーマファイルの中身の例
WordPressのテーマファイルの中身の例

「PHP」ファイルが多くあるのがわかりますね。

これはPHPというプログラム言語が仕込まれたHTMLファイル
ざっくり考えていただければ大丈夫です。

HTMLのみのサイトの場合、「コンテンツの中身」(例えば日記)を書くときは
その内容を直接HTMLファイルの中に書いていますね。

ところがWordPressはそうではなく、各種データはデータベース(MySQL)に格納されます。

このデータはFTPでは見れず、
サーバーのコントロールパネルの別の場所から見ることができます。
普段はまったく触る必要はありません。

実際に1ページ単位の日記(WordPressでは「投稿」と言います)を表示する
PHPファイル「single.php」を見てみましょう。

WordPressのPHPファイルの中身の例(single.php)
WordPressのPHPファイルの中身の例(single.php)

<?php the_content(); ?>という記述が
「投稿の本文をデータベースから引っ張って来い」という命令であります。 

お客さんがWebサイトに訪れた時に実際に何が起こるかと言いますと、
リクエストを受けた瞬間にこのプログラムが実行され、
投稿の本文(同時にタイトルやサムネイル画像や次の記事のタイトル等々)が
呼び出されて表示されるという具合になっております。

つまり「2019年8月25日の記事を見たい」と言えば、
このプログラムがデータベースから8月25日の投稿を引っ張ってくる。
26日の場合は26日のデータを同じPHPファイルが引っ張ってくるというやり方なんですね。

HTMLだけで作ると日記を書くたびにどんどんHTMLが増えていくという、
個人サイトあるあるな事態が起こります
が、
このPHPのファイルはほとんどの場合、途中から増やす必要がありません

さらに、月ごとの記事一覧(アーカイブページ)や、
特定のカテゴリーに属する記事一覧(カテゴリーページ)なども、
自動的にまとめて表示することができます。

この「見た目とデータが分離されている」という特徴はとてもメリットがあります。

例えば従来のサイトで、
どのページにも共通して置いていたリンクや画像などを変更したい場合を考えてみてください。

従来のサイトであれば、該当する全ページのHTMLを修正する必要がありますが、
WordPressでは1つのPHPファイルの記述さえ修正すれば、大抵の場合全部が修正されます。

各ページの共通部分はパーツごとに(サイドバーやフッター部分など)分解されたイメージで、
ある程度使い回しにできるんですね。

さらにテーマによっては、PHP ファイル自体を触らなくても、
テーマとしての設定だけで
プログラムを書かずとも共通部分の修正が簡単にできるようになっているものもあります。 

これにより、修正の労力が劇的に減ります。

テーマによる簡単なデザインの切り替え

テーマを有志がたくさん公開しており、 それによって気軽にデザインが切り替えられるのも特徴です。

上記の文章とも関連はするのですが、
テーマファイルとデータが分離していることが最大のメリットであるため、
中身のデータはそのままにテーマファイルを着せ替えのような形で導入できるというわけです。

最近はテーマ自体が高機能なものが多いことから、
単純にテーマを変えただけでは完全に互換にならない設定も多いんですけれども、
HTML サイトで一から設計をやり直すよりはずっと労力は少ないです。

テーマの価格は、公式テーマとしてWordPress が認めた無料のものから、
ビジネス用の本格的なサイトを作るための数万円クラスのものまで様々です。

基本的には無料のものでも十分な機能を持ちますが、
より高機能なサイトを素早く作りたいときは有料テーマが役立ちます。

プラグインの追加による機能拡張

機能拡張をするためのプラグインも第三者が各々公開しています。

どんなものがあるかと言うと、例えば

・お問い合わせフォームを簡単に作れるもの
・セキュリティを高めるようなもの
・バックアップが楽にできるようなもの

など様々です。

実感としては、
テーマは実用的なものほど高価になり、無料なもので本格的なものはわずかという印象なのに対し、
プラグインは9割以上が無料で十分な能力を持っています

これらは管理画面から簡単にインストールやアップデートができる(古いプラグインには互換性の問題もあるにはあるんですが)という具合です。

情報が豊富

同じような機能を兼ね備えたCMSはWordPress以外にもたくさんありますが、
WordPressはその中でもシェアNo.1の存在です。

つまり情報が豊富にあるということです。

「WordPress ○○ プラグイン」で検索すると
大抵それを叶えてくれるようなプラグインの候補は見つかりますし、
「○○できない」という時も比較的ネット上に解決方法が多くヒットするに思えます。

WordPressは先ほど述べたように、一つのファイルで様々なページを表示できるメリットがある反面、
いざトラブルが起こると何も見れないという状況に陥ることがごくまれに起きます。
最近はほとんどありませんが昔はたまにありました。
そんな時に情報が豊富にあるととても助かります

また書籍も大量にリリースされています(初心者向けか上級者向けの二択という感じですが…)。

以前、仕事で別のCMSを取り扱うことがあったんですけれども、
書籍がオフィシャルから出ている一種類しかなかったという経験がありました。
WordPressに関してはそんなことはありません。

次回はソフトウェアやツールなど必要な環境についてお話します。

★こちらの連載を同人誌にした『令和時代の個人サイト制作入門
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