RPGのノリで悪い習慣の改善に挑む!「Habitica」にハマった話
こんにちは、アンメルツPです。
今回は「Habitica」(ハビチカ、旧名「HabitRPG」)というWebサービス/アプリを紹介していきます。
2020年の4月中ごろから始めて、執筆時点でちょうど2か月ぐらい使っているのですが、
自分の中でいい感じに生活に組み込まれてきたと感じています。
目次
Habiticaとは
Habiticaとは、ざっくり言えばToDoリストのWebサービス/スマホアプリです。
Habitica – Gamify Your Life
https://habitica.com/
まあ、これだけ聞くと「ToDoアプリなんて他にたくさんあるじゃん」と思うかもしれませんが、
このサービスの面白いところは、RPGの要領でキャラクターを育て上げられるという点です。
タスクをこなすと経験値とお金(ゲーム内通貨)がたまっていき、
レベルがどんどん上がっていくことで
自分のリアルな成長を実感できるという代物になっています。
お金で装備を買ってアバターを強化したり、
タスク攻略時にたまに手に入るペットの卵を孵化したりして
育成やコンプリートを目指す楽しさもあります。
ですが、タスクをサボったらダメージを受けてしまい、体力がゼロになると
レベルが下がって装備をひとつ奪われるというなかなかしんどいペナルティが待ち構えています。
どんなタスクを設定するかは自分の意志力に任されていますが、
ちょっとだけ厳しいものを設定しておくと、いい感じに自分を引っ張るアプリになるのかなと思いますね。
本質は「悪いクセ・習慣の改善ツール」
Habiticaを簡単に説明するために「HabiticaはToDoリストです」といま説明しましたが、
その実態としては、誰しもが持っている「悪いクセや習慣(=habit)」を改善しようという目的に沿って
すべてのシステムが設計されているように思えます。
ですから、単純に他のToDoリストのアプリを完全に置き換えられるかというと、
少し違う面もあると言えるでしょう。
主な入力項目は、全部で4つあります。
・習慣
・日課
・To-Do
・ごほうび
このうちHabiticaで特に重要なのは「習慣」と「日課」となりますが、
最初に「To-Do」を紹介することで他との違いがわかりやすくなるのでそうしてみます。
「To-Do」の使い方
「To-Do」は、他のツールと同じような一般的なToDoリストを思い浮かべてもらえるとわかりやすいです。
やらなければならないことを項目として入力し、チェックしたら完了扱いになるというアレですね。
Habiticaならではの要素として、チェックをしたらそのタスクを「クリア」したことになり、
経験値とゴールドが手に入ります。
タスクごとに「難易度」を設定できるのが、Habiticaならではの要素です。
難易度は、「ちょろい」「かんたん」「ふつう」「むずかしい」という四つに分かれており、
難易度が上がるほどタスク完了時に得られる経験値やお金が多くなります。
ほかには、サブタスク的にチェックリストを設定できたり、タグ付けもできますが、
これは他のツールでも兼ね備えたものが多いです。
何を難しいとするかは各自の裁量に委ねられていますが、私の場合は
・1分~数分でできるもの→ちょろい
・5分~20分くらいかかるもの→かんたん
・30分~1時間くらいかかるもの→ふつう
・1時間~3時間くらいかかるもの→むずかしい
という感じにしています。
(3時間以上かかりそうなものはもっと細かいタスクに分割するか、チェックリストを活用します)
ToDoリストを何本も同時に走らせたり、時系列で管理することはできないので、
ぶっちゃけToDoリスト単体として見ると、そんなに高機能とは言えないです。
大きなプロジェクトの管理をしたいなら、リストを好きなだけ増やせる「Trello」のほうが向いていますし、
1日の間に何をやったかを時系列で見たいなら、「TaskChute Cloud」が有料であるものの便利です。
私は上記2個と併用する形でHabiticaを取り入れています。
アプリの使い分けを詳しく書くと長くなるので書くなら別記事にしようと思いますが、
Habiticaでの「To-Do」は、TrelloやTaskChute Cloudに書いた単発的なタスクをやったときに
タスクを追加→瞬時にチェックして経験値を稼ぐ、という感じでざっくり使っています。
「習慣」の使い方
Habiticaにおいて特に大事なのが「習慣」と「日課」の二つですので、
次にそのうち「習慣」の方を説明しましょう。
ここには文字どおり、「継続したい良い習慣」や「改善したい悪い習慣」をリストとして登録していきます。
オプションとして難易度やタグ設定のほか、「習慣」ならではの特徴として、
プラスとマイナスのボタンを有効にできます(どちらか片方を有効にしてもOKだし、両方でもOK)。
プラスのボタンを押すと、良い習慣を行ったとして経験値とお金をゲットでき、
反対にマイナスのボタンは悪い習慣をしてしまったときに押してダメージを受ける、という具合です。
その項目には各自によってさまざまな項目が入るかとは思いますが、
私の場合は「本を30ページ読む」「領収書のファイリング」「起きたら布団から5分以内に出る」などを
現在登録しています。
そのうちのひとつに「7時間以上 / 6時間以下の睡眠」という項目があります。
7時間以上寝た場合はプラスのボタンを押し、
6時間以下の睡眠だったらマイナスのボタンを押すという運用ができるのが
「習慣」ならではのやりかたですね。
難易度を高くすると、「+」を押したときの経験値も、「-」を押したときのダメージも大きくなります。
より自分の中で重要なものを「ふつう」「むずかしい」として設定しましょう。
「-」の数が多くてなかなか克服できない習慣(色が赤く変わる)を
「+」すると獲得できる経験値が大きくなるなど、やる気を上げる細かい工夫がいろいろあります。
2ヶ月で明らかな成果が!(※効果には個人差があります)
良い行いに対して経験値やゴールドなどのご褒美があるというのが
思った以上に自分の中でのモチベーションとなっているところがあります。
例えば「本を30ページ読む」「本を読了する」を習慣に入れたおかげで、
5月は本を6冊ほど最後まで目を通すことができ、積ん読の減少に確実につながっています。
暇な時に「習慣」のリストを眺めて、「あ、そうだ本読もう」とKindleアプリを開くという
行動につながることもあり、楽な方にどうしても行ってしまう自分を抑えてくれます。
またお恥ずかしい話ですが、私は箸の持ち方をずっと間違えたまま大人になってしまいました。
しかし「箸を正しく持つ」を習慣に加えた結果、「1日に3回も経験値稼げるじゃん!」となり、
結果、ここ2ヶ月ほどで持ち方がだいぶ改善されました。
(「正しく持てる」とは自信持って言えないですが…)
きっかけが無くていつかやろうと思っていたことに取り組めて、
実際に成功体験につながったことは、このアプリをより信頼できる要因となりました。
「日課」の使い方
次に「日課」を見ていきます。
ここには「毎日やりたい、やらなければならないこと」を登録していきます。
「To-Do」と同じようなチェックリストで、チェックをすると完了し、経験値とお金を獲得しますが
翌日には復活しているというのが「To-Do」との大きな違いです。
ですから、条件に合った時に不定期にプラス/マイナスボタンを押す「習慣」とは
ちょっと性質が違うものとなりますね。
オプションでは週の特定の曜日にだけ実行したり、1ヶ月に1回実行するような設定もできます。
私の場合は「俳句を一句詠む」「DAWか動画ソフトで創作」「ステッパーを踏むかウォーキングをする」
などを「日課」として登録しています。
俳句に関しては、
今までラジオ番組や投稿サイトの締切前日〜数時間前に何句かひねり出すことを繰り返してきたのですが
このスタイルに限界を感じたので、「一日に一句なんらかは詠む」という方針に変えました。
その助けになっているのがまさにこの「Habitica」というわけです。
兼題と向き合う時間が長くなり、より俳句に対する理解を深められそうな気がします。
実際、このスタイルに変えてから
ラジオ番組で久々に自作句が優秀句として紹介(「夏井いつきの一句一遊」金曜日)されるなど、
着実に成果が現れはじめています。
また、ついうっかり忘れてしまうことを登録しておくのもいいと思います。
私の場合「ニコニ広告を引く」という項目がそれにあたるものです。
現在のniconicoでは、ログインボーナス的に毎日ニコニ広告の福引を引けるサービスがあるのですが、
1回の福引で得られるポイントは少量でも、毎日続けるとそれなりの量になるのでやるようにしています。
「日課」の良いところは、1日の最後までタスクを残しておくと、
翌日(1日の切れ間は設定可能、私は午前4時にしています)の最初にWebサイトかアプリを見たとき、
その残っている日課を自動的に表示してくれることです。
「チェックを入れるのが面倒」というこの手のToDoツールを辞める理由すら封殺しています。
つよい。
もしチェックを忘れていたタスクがあればここでチェックすれば経験値になりますが、
やってないとそれが全部ダメージとなって襲いかかってきます。
15個ぐらいの日課を登録していると、どうしても2~3個くらいは達成できないものが残るので
じわじわと毎日ダメージが蓄積されていきます。
レベルを上げるとHPは全回復するので、死ぬのが先か、経験値が貯まるのが先かという感じになります。
その他の機能
ごほうび
「ごほうび」という項目では、手に入れたお金で武器や防具などを買えますが、
それ以外にも、お金で何を買うかを「自分で設定できる」というのが大きなポイントです。
例えば「スナック菓子」と書いて30ゴールドと設定しておくと、
どうしてもスナック菓子が食べたくなったときに自主的に30ゴールド払って食べる、という具合です。
文字通りのごほうびにも、何かを自制したいときにお金というハードルを設ける目的でも使えます。
これも金額を含めてすべて自分しだいなので、ギリギリ耐えられる感じの値段を設定して
運用によりちょっとずつ調整していくのがいいかなと思います。
クラス(職業)システム
キャラクターを育てる楽しみとしてレベルアップがありますが、
レベル10を超えるとデフォルトの職業「戦士」からクラスチェンジすることができます。
クラスは戦士・魔道士・治療師・盗賊の4種類です。
一人で黙々とアイテムやお金を稼ぐのに向いているので、私は「盗賊」でプレイしています。
タスクをこなした時の獲得ゴールドが多くなったり、レベルが上がるとスキルを覚えて
(MPに相当する「マナ」という青いバーがレベル10になると追加される)
これを消費して追加の経験値やお金を稼ぐことができます。
レベルが上がると必要な経験値がどんどん上がっていくので、
うまくスキルによってだましだましカバーしつつ、少しずつレベルを上げていく作戦です。
他におすすめは、体力を回復できるスキルが使える「治療師」です。
クラス・システム | Habitica Wiki JP | Fandom
https://habitica.fandom.com/ja/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
複数人でパーティーを組んで遊ぶ
また、他の人とパーティーを組んで共通の目標にチャレンジできるモードもあります。
私は残念ながらぼっちで使っているのでそちらの楽しみ方はしていませんが、
他の方のネット記事などを探してもらうと実践してる人が多くいるかと思います。
複数人で協力してレイドバトル的に共通のボスとなるタスクを倒すクエストもあるのですが、
一人がサボったら全員がダメージ受ける仕組みもあるらしく、連帯責任が問われます。
ここでは「戦士」や「魔道士」がボスとなるタスクに大ダメージを与えられるので活躍できます。
パーティー | Habitica Wiki JP | Fandom
https://habitica.fandom.com/ja/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC
Habiticaを活用して思うこと
2ヶ月使ってみて思うことは、自分の力量・限界を否が応でも実感させられるということです。
良い習慣を続けたり、悪い習慣の改善、そして日課をこなすモチベーションは確かに上がりました。
しかし一方で実感したのは、今までいかに必要なことをサボって時間を確保していたのかという事実ですね。
やりたいことを全部やろうとすると、一日ってこんな短いんだという現実を突きつけられます。
こうした自分の限界から来る絶望感とどうやって付き合っていくかは大事ですね。
やりたいことを「日課」としてあれもこれもと設定すると、必ず達成できないことがいくつか出てきます。
基本的にこのゲームは最大HP50固定で、
レベルが上がっても最大HPは上がらずに必要経験値だけがどんどん上がっていきます。
現在はまだゲーム内で体力がゼロになったことはありませんが、
もっとレベルが上がるとより達成が難しくなるので、
1日の中で本当に優先したいのはどれか、捨てるのはどれかと選んでいかなければなりません。
習慣や日課の難易度を下げたり、諦めたりしてダメージを回避する工夫が必要になってくるわけですね。
このゲームでレベルが高い人は本当に自己管理ができている人だと思います。
まだまだ先は遠い…
現在はモチベーションがいい方向に続いてますが、これが半年・1年経ったら続けられるのか、
日課だけに追われて将来のことが手につかないという本末転倒なことにならないかは少し心配してはいます。
どんなツールでもそうなんですが、ツールに使われないように気をつけます。
この件は誰もが思うことらしく、公式 Wiki でも「燃え尽き」という項目があります。
なかなか細かい対策が書かれており興味深いです。
燃え尽き | Habitica Wiki JP | Fandom
https://habitica.fandom.com/ja/wiki/%E7%87%83%E3%81%88%E5%B0%BD%E3%81%8D
おわりに
ここまでHabiticaの魅力を紹介しました。
Habiticaはオープンソースのツールで、無料で遊ぶ(始める)ことができます。
有料アイテムと月額課金という有料要素もありますが、
私は今のところありがたく無料で使い続けております。
PCから見れるWebサービスのほか、iOSアプリ、Androidアプリがそれぞれあります。
アプリは一部は日本語化されてないところもありますが、それほど難しい英語ではありません。
タスクや難易度調整など、基本的にゲームバランスはすべて自分任せとなるのですが、
それが合う人にはとことん合うかなというところですね。
開始2ヶ月で執筆時のレベルは24です。
レベルは100まで上げられるようで、1~2年かかって達成する人もいるという話なので
悪い癖を克服し、より自分らしい人生に近づいていければと思って
今後も楽しみつつタスクをこなしていきます。
著者「アンメルツP」について
アンメルツP(gcmstyle / 安溶二)
ボカロP。鏡音リン・レンなどのVOCALOID(広義)を歌わせたオリジナル曲・カバー曲を2008年から作り続けています。代表作にゲーム『プロジェクトセカイ』収録の高難易度曲「人生」、著書に『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』(インプレス)など。
音楽ジャンルに関係なく、キャラクター性を活かしたボカロ曲を制作しています。
楽曲ストリーミング配信、カラオケ配信(JOYSOUND/DAM)多数。