【2020年6月追記】ボカロPの筆者が「Google Play Music」を使い続けていた理由【レビュー】
※2015年9月23日に書いた初稿版に追記・タイトル変更等を加えました。
目次
はじめに
最近、月額定額制の音楽配信サービス&アプリが
多数リリースされ群雄割拠の状況となっていますが、
2015年9月上旬、GoogleもPCとスマートフォン両方に対応した
聴き放題サービスを日本市場に投入しました。
Google Japan Blog: Google Play Music を日本で提供開始します
登場当時の私自身の環境としては
・PCはWindows 10、スマートフォンはAndroidを使用
・「AWA」「LINE MUSIC」はアプリとして入れていたが、ほとんど使っていなかった
(それこそ自分の曲の配信確認くらい…)
・「Apple Music」も無料期間だけは使っていた
ですが、「Google Play Music」は一番自分の手に馴染んで
課金しているサービスとなりましたので、
その特徴や使ってみての感想を、他サービスとの比較も交えて書きたいと思います。
【2019/6/23追記】色々原稿の見直しを行いました
この記事はもともと2015年9月23日に、
「『Google Play Music』発表を2週間ほど使用しての雑感」というタイトルで
投稿したものとなります。
その後、2018年5月に一度はSpotifyのプレミアムプランへと乗り換えましたが、
2018年11月にYouTubeのプレミアム制度が日本で始まったことをきっかけに、
再びGoogle Play Musicへと出戻りしています。
(YouTubeプレミアムに加入すれば、YouTube Music、Google Play Musicともに課金した扱いになります)
なお、最終的にGoogle Play Musicは「YouTube Music」に統合されて
終了となる計画がされているとのことです。
当初の記事から4年あまりが経過し、ストリーミングサイトを取り巻く事情が
かなり変化しましたので、今回様々な追記を行いました。
参考リンク
「YouTube Music」記者発表会、将来的にGoogle Play Musicはサービスを終了 | Musicman-net
【2019/9/30追記】GoogleのYouTube Music推しが進む
9月27日にYouTubeの公式ブログにて、
今後発売されるAndroid9以降の端末には、Google Play Musicではなく
YouTube Musicがデフォルトのアプリとしてインストールされることが発表されました。
Google Play MusicがGoogleの今後の推しではないことは確実な情勢ですが、
下記の「50,000曲まで入るロッカーサービス」にこそGoogle Play Musicの存在価値があると思うので、
しれっとYouTube Musicの完全移行時にロッカー機能が捨てられないことを祈るばかりです。
参考リンク
Google Play Musicに近づく終わりの時 – ITmedia NEWS
【2020/6/14追記】正式に2020年中の終了が発表されたので、移行手続きを行いました
Google Play Musicに課金した決定的な理由2点
(1)ロッカーサービス
(2)プレイリスト提示の方向性
理由1:50,000曲まで入るロッカーサービスが無料
自分が購入した曲をサーバにアップして、PCからでもスマホからでも
曲を聴けるロッカーサービスがあるのが第一の理由です。
以前はiPod Touchも持っていたので「iTunes Match」サービスを
利用していたのですが、そちらは上限が2015年の当時25,000曲でした。
しかも、何かあるたびに一から取り込み作業が始まる感じだったので
ろくに活用できないまま退会した記憶があります。
新しくPC内の特定のフォルダ(私はMusicフォルダ全体を指定)に
曲を追加したら、あとはその差分のみ自動的に追加されます。
【2019/6/23追記】
iTunes Matchは現在は上限が100,000曲に改善されています。
なお、一部のSamsung製スマートフォン契約者では、特典サービスとして
Google Play Musicのロッカー容量が50,000曲から100,000曲に拡大されています。
また、iTunes Match(年間3,980円)はApple Musicとは別サービスとなっていますが
Google Play Musicのロッカー機能はストリーミング配信の部分を課金せずに
無料でも機能単体の恩恵に預かることができます。
Google Play Musicのロッカー機能は比較的安定しています。
wavファイルはアップロードできないのですが、40,000曲近い
楽曲のアップロードが3日ほどかかって完了しました。
他のストリーミングサービスは、アプリ内で聴ける曲以外は別の音楽再生アプリを
立ち上げる必要があります。
しかしGoogle Play Musicはロッカー機能があるゆえに、
◆スマホに入れている曲
◆スマホには入れていないが手持ちの曲
◆手持ちではないアプリ内配信曲
上記の3つが意識しないと違いがわからないくらいに
アプリひとつだけでシームレスに聴けるのが素晴らしいところだと思います。
ちなみにアプリ内配信曲をダウンロードするには、別途お金を出して
曲を普通に購入する必要があります。
が、「曲って手元に置いておく必要あるんですかね?」というメッセージも
突き付けられた気分になります。
サービスが終了しない限りは「所有」しているようなものですからね。
「ロッカー機能」のミュージシャン側としてのメリット
実は、ボカロPのような楽曲の作り手側にとっても
このサービスはメリットがあります。
それは、パソコンで作った曲をmp3に変換して音楽フォルダに適当に突っ込んでおけば
勝手に手持ちのスマートフォンで聴けるようにしてくれることです。
今まではmp3に変換したあと、手動でスマホにコピーする作業が必要でしたので
スマホで音のチェックする作業が段違いに楽になりました。
しかも、上記の商業音楽と区別がなく聴けることが、
商業音楽と自分の音楽のミックスの比較もやりやすいという点でプラスに働きます。
理由2:プレイリスト提示の方向性
プレイリスト自体はどの音楽配信アプリにもある機能です。
ただ他のサービスは、特定のアーティストやジャンルに注目した
プレイリストが目立つように思うのに対し、
Google Play Musicの場合、「その日の気分」というところを
より重視しているように感じました。
2015年当時には、トップに常に「何曜日のこの時間帯にオススメの曲」という
プレイリストが出てきました。
2019年現在ではこの表示はされなくなりましたが、それでもムードから決める
ステーション(プレイリスト)が選びやすい印象はあります。
音楽配信アプリというよりは
「簡単に気になった曲を聴き返せるFMラジオ」
「合法的でいつでもアクセスできる作業用BGM」を
手に入れたイメージです。
「明確な目的もなく、とりあえずアプリを開いて出てきた曲を楽しむ」
ことにかけてはこのアプリが一番適していると思いました。
楽曲の配信状況について
上記2つの理由によりGoogle Play Musicが
一番自分の環境において自然に溶け込む仕組みだったので
月額課金に至ったというわけです。
なので、配信曲の充実というのは個人的にはぶっちゃけ
二の次なのですが、選ぶ方にとっては参考にはなるかと思うので
楽曲の配信状況についての感想も書いておきます。
TSUTAYA DISCAS で自分のレンタルリストに載っていたアルバム
(J-POP、邦楽ロック、ボカロアルバム、音ゲーサントラなど)を
片っ端からGoogle Play Musicで検索した結果は、
大体5~6枚に1枚くらいがヒットしました。
特に最新曲については少ない印象があり、
アルバムの「最新のひとつ前からは全部揃ってます」みたいな
アーティストが多く見受けられました。
TSUYATA DISCASの代替にはならないと感じたので、
これからも併用していきたいと思います。
月2,000円ほどでCDはいくらでも借りられるうえに、
CDをあまり聴かない月はDVDも合わせて月8枚まで借りられます。
【2019/6/23追記】
その後、月1,000円ほどで4枚まで借りられるプランにダウングレードしました。
理由としては、この4年間にGoogle Play Musicや他のストリーミングサイトの曲目が
ある程度充実してきたことにあります。
CDオンリーの作品は、月4枚あれば本当に十分な程度になりました。
アニメソングの配信については、こちらの記事が詳しいです。
Google Play Musicのアニソン配信状況を調べてみた。:まっちゃぷでぃんぐのブロマガ – ブロマガ
音楽ジャンルのひとつとして「アニメ」が用意されており、
そこそこ曲数も充実している印象はあります。
ボカロ曲の配信数は少ない
2019年6月現在、クリプトン社の楽曲配信レーベル「KARENT」および「router.FM」は
Google Play Musicが配信サイトの対象となっていません。
そのため、残念ながらボカロ曲の配信は少ないです。
EXIT TUNESなどメジャーアルバムの一部は配信されていますが、充実度は低いです。
ボカロ曲をがっつり聴きたい方は他のストリーミングサイトのほうがいいでしょう。
実際、私も「Spotify」は解約後も無料で使い続けていますし、
「LINE MUSIC」もボカロ曲をちょっと試聴したいときに活用することがあります。
私アンメルツPの配信アルバム『PARTY AnnMelts』も
Apple MusicやLINE MUSICなどの各種ストリーミングサイトで絶賛配信中です(宣伝)。
【2019/6/23追記】現在は確かにボカロ曲が少ないが…
しかしながらこの状況は、将来的に「YouTube Music」と機能が完全に統合されたときに
大きく事情が変わる可能性があります。
なにせYouTubeそのものがストリーミングサイトとして機能するようになるのです。
すなわち商用配信かどうかなど関係なく、アマチュアがYouTubeに上げた動画を
即座に他の楽曲と別け隔てなく再生できるようになります。
(というかロッカー機能を考えなければ現在のYouTube Musicも既にそうなってます)
現在動画サイトとしてYouTubeが圧倒的な覇権を握っている以上、
他のストリーミングサイトにはできない凄まじい物量を兼ね備えたサービスになるでしょう。
不満点
スマートフォンの通信量
これは音楽配信アプリ共通の悩みかとは思いますが、
30分アプリを立ち上げて聴くと100~200MBくらい消費します。
これに関してはSpotifyの2倍くらいは消費している印象があります。
当時のスマートフォン契約では通信量を抑えて3GBプランにしていましたが、
全く足りないので、現在はもう少し容量の多いプランにしています。
PCで聴くとたまに動作が重くなる
Google Play MusicにはPC用のデスクトップアプリは
手持ち曲を管理するための「ミュージックマネージャ」しかありません。
実際の楽曲は、ブラウザを介して聴く仕組みです。
ただ、ふとした拍子に動作が重くなり、ブラウザ(Chrome)や
PC全体の動作がもたつくことがたまにあります。
タスクマネージャーで見ると10%くらいCPUを占有し、
一旦ブラウザを落としたりプロセスをKillしたりすると安定を取り戻します。
ブラウザのもたつき回避としては、ネット巡回用と
Google Play Music用のブラウザを分けるという手もあるかもしれません。
楽曲のレーティング
YouTubeみたいに「高く評価」と「低く評価」(&評価しない)しかありません。
気に入っている曲の中でもさらに一段高く評価したいもの、というのがよくあるので、
5段階評価、もしくは高く評価ボタンの連打でさらに高く評価できるような
仕組みが欲しいですね。
今後望むこと
オートプレイリストの機能充実
オートプレイリストは用意されていますが、
「高く評価」「最近追加した曲」「無料/購入済みの曲」という3カテゴリのみです。
ここはiTunesやWindows Media Player、
あるいはMusicBeeのAuto DJ機能のような、
条件を何種類も指定できるオートプレイリストが欲しいところです。
せっかく気分で選曲できるプレイリストがあるんだから、
そういったものを条件のひとつとして指定できたり、
あるいは手持ちの曲とアプリ配信曲の比率を設定できると、
未知の曲を適度に楽しめていい感じになりそうです。
検索機能の強化
ちょっと検索結果のインターフェースが正直わかりにくいのと、
それから上のオートプレイリストにも絡むけど、
入り組んだ条件を指定できるといい感じです。
YouTubeとの連携→【2019/6/23追記】YouTube Musicの出現により実現に向かっています
同じGoogleということで今後非常に期待をしている部分です。
現状「スマホに入れている曲」「スマホには入れていないが手持ちの曲」
それに「手持ちではないアプリ内配信曲」がアプリひとつで聴けるわけですが、
これに「YouTubeに上がっている曲」も統合されたら
まさに最強なのではないかと思うわけです。
企業レーベルと契約してオフィシャルな配信曲を増やしたり、
アマチュアはYouTubeのチャンネルを登録することで動画として上げた曲を
このアプリ内で配信できる…そんな仕組みが実装されたらいいですね。
Google Play Musicのアクセスはこちらからどうぞ。
30日間フルで機能を使える試用期間があるので、その間に色々試して
自分の環境に馴染むかどうか確認してみるのがいいでしょう。
著者「アンメルツP」について
アンメルツP(gcmstyle / 安溶二)
ボカロP。鏡音リン・レンなどのVOCALOID(広義)を歌わせたオリジナル曲・カバー曲を2008年から作り続けています。代表作にゲーム『プロジェクトセカイ』収録の高難易度曲「人生」、著書に『ボカロビギナーズ!ボカロでDTM入門 第二版』(インプレス)など。
音楽ジャンルに関係なく、キャラクター性を活かしたボカロ曲を制作しています。
楽曲ストリーミング配信、カラオケ配信(JOYSOUND/DAM)多数。