YouTubeの自分や他人の曲が何dB音量を強制的に下げられているか調べる方法 | G.C.M Records

YouTubeの自分や他人の曲が何dB音量を強制的に下げられているか調べる方法

最終更新日:2020年2月26日

YouTubeやストリーミングサイトは音量が調整されている

2017年頃から2014年12月頃から、YouTubeに投稿した楽曲(に限らず)動画について、
高すぎる音量(音圧)の音源は、ボリュームが強制的に下げられて再生されるようになりました。

【2020/2/26追記】導入時期の記述を訂正いたしました。申し訳ございません。
改めてソースを確認したところ、2014年12月頃に導入されたとみられる規制が、
2015年3月頃に各種記事にて話題となっておりました。(Production Advice様、g200kg様ほか)

またYouTubeに限らず、Spotifyなどのストリーミングサイトでも同じような処理が行われています。
ストリーミングサイトの場合、各人が持ってきた曲の音量がバラバラだと
連続再生するのに大変なことになってしまう
ので、そのための仕様なのでしょう。

下記の記事は、どれくらいの音量の音源を投稿すると調整がかかるかを
丁寧に調べており、非常に参考になります。

参考記事(2017年当時にYouTubeで検証したという記事です)
Youtubeのラウドネスノーマライゼーションを検証してみた。 | SOUNDEVOTEE.NET

強制的にボリュームを下げられるポイント(ラウドネス基準という) は
各サイトでもバラバラです。

Spotifyで曲を聴いたことがある方、
YouTubeで聴くよりももちょっと音量が低いと感じたことはありませんか?
あれはラウドネス基準がYouTubeよりも低いからです。

しかしながら、どのサイトでもこれまでniconico(ニコニコ動画)に投稿してきた
ボカロ曲と同じ音源だと、ごっそり下げられてしまう
ようです。

リミッターを使ってせっかく上げた音源の音量が強制的に下げられてしまうと
リミッターの音の歪みだけが残ってしまう結果となるので、
表現として意図した歪みでない限りは避けたいところです。

なお、「音量の調整(ラウドネスノーマライゼーション)」と
「動画サイト側のエンコードによる音質の低下」とは全くの別物ですので、混同しないようにしましょう。

niconicoにも自動音量調整が導入(2020年1月29日より)

2020年1月29日より、まずはPC版のニコニコ動画にて、
ラウドネス基準を超えた動画の音量が引き下げられる
ラウドネスノーマライゼーションが導入されることが発表されました。

動画音量の自動調整機能を導入します【PC版ニコニコ動画】|ニコニコインフォ

ニコニコ動画のラウドネスノーマライゼーション(自動音量調整機能)について:ニコニコ窓口:niconico窓口チャンネル(ニコニコ窓口担当) – ニコニコチャンネル:社会・言論

上記のniconico窓口チャンネルでの記事では、基準となるラウドネス値が
「-15LKFS/LUFS (Integrated Loudness)」と明記されるなど
かなり詳しく仕様が説明されているので、これから動画を投稿予定の方はぜひご覧ください。

どれくらい音量が下げられているかは、PC版のYouTubeで見れます

ここでYouTubeで自分の曲がどれくらい音量を下げられているかを調べる手段を紹介します。

お嬢様と執事の舞踏会/鏡音リン・レン by アンメルツP・みっち (Lady and the Steward: Dance Party)

どのブラウザでもいいので、パソコンからYouTubeの動画ページにアクセスします。
そして、動画上でマウスを右クリックすると、黒い背景のメニューが出てくるので
そこの一番下「詳細統計情報」をクリックします。

PCのYouTube再生画面でマウスを右クリック→「詳細統計情報」
PCのYouTube再生画面でマウスを右クリック→「詳細統計情報」

すると、左上に下記のような小窓が表示されます。
ここで動画サイズやフレームレートなど様々なデータが見られるようになっているのですが、
その中のメニュー「Volume / Normalized」をご覧ください。

「Volume / Normalized」で、どれくらい音量が下げられているかがわかる。この場合は6.9db
「Volume / Normalized」で、どれくらい音量が下げられているかがわかる。この場合は6.9db

「100% / 45% (content loudness 6.9dB)」と表示されています。
最初の「100%」は、音量スライダーの位置で、
次の「45%」が、実際には音量何%相当として再生されているか。
そして「6.9dB」が下げられた音量です。

これまで「音量」という言葉を使ってきましたが、ラウドネス基準でいうところの音の大きさは
「ラウドネス値」という、「人間が聴くうえで非常にリアルに数字を出せる音量の計算方法」で測ります。
ラウドネス値の単位には「LUFS」や「LKFS」が使われますが、
取り扱いはdBと同じ感覚と考えて差し支えありません。

この音源は、ラウドネスメーター「TR5 Metering」で、
サビのLUFS(short term)値を-5~-6 LUFSくらい(RMS値-9dBFsくらい)にしてマスタリングしていました。

ニコ動では多分これくらいが一般的だと思うのですが、
6.9dBということは元の半分以下の音量になってしまっています。

この「右クリック→詳細統計情報」ですが、別に自分のチャンネルに限らず
どの動画でも確認できるので、気になる他人の曲も確認できてしまいます。

いくつか好きな動画で試してみたのですが、私の動画と同じくかなり下がっているものと
しっかり対策をしていると思われるものが半々くらいの割合で見受けられました。
例えば米津玄師さんの場合、「Lemon」が-5.5dB、「海の幽霊」が-1.7dBなどとなっていました。

投稿前に自分の曲がラウドネス基準に引っかかるか確認するには?

投稿前に自分の曲の音量をチェックするには、
非公開でYouTubeに上げて確認するという手段もありますが面倒なので
「Loudness Penalty」というサイトで確認するのが手っ取り早いです。

音源をアップするだけで、どれくらい音量が下げられるかの概算がわかります。
YouTube、Spotify以外にも、iTunesや
海外でメジャーなストリーミングサービス「TIDAL」「Pandora」に対応しています。

なお、DAW内で同じチェックができる有料のVSTプラグイン版(リンク先Plugin Boutique)もあります。
※11月30日までブラックフライデーセールで3,500円程度で購入できます

気になる検出精度ですが、YouTube(-6.9)に上げたのと同じ「お嬢様と執事の舞踏会」の
音源をアップして「-7.1」という結果が出たので、ほぼ信用してよいでしょう。

というわけで私も、次に発表するはずの作品からはYouTube(&配信)用の音源を
ニコ動やピアプロに置くものとは別に用意しています。

最近はT-RackS Oneでほとんどマスタリングをやっているのですが
5dBくらいかけていたリミッターを0dB(添えるだけ)にした、
ほぼコンプレッサーのみがかかっている状態の音源となります。

T-RackS Oneではリミッターに相当する「VOLUME」を0まで下げて添えるだけにする
T-RackS Oneではリミッターに相当する「VOLUME」を0まで下げて添えるだけにする

この状態でサビのラウドネス値(short term)が-10~-11LUFS くらいの音源となり、
Loudness PenaltyでチェックするとYouTubeで-2dBほどと判定されます。
より詳しい方であればさらに最適化できるかと思いますが、
大きく音量が削られるよりはマシな音源になっていると思います。

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著者「アンメルツP」について

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